子供が生まれた時に買った家を、塗り替えをすることになった。
小学生の娘、「学校はどうなるの?」
母親である私、「学校には行かないとダメよ」
娘、「塗り替えをしている間は家に居られるの?」
私、「居られるんじゃないの」
私は賃貸マンションにしか住んだことがないため、家の塗り替えの経験がない。
家の塗り替えをしている間、普段通りの生活が出来るのか塗装業者さんに聞いてみると
業者さん、「洗濯物が外で干せないなどの制限はありますが、家の中だけなら普段通りの生活をしてもらって構いません」
私、「留守にしていても構いませんか?」
業者さん、「はい」
私、「立ち会いは必要ですよね」
業者さん、「全て任せてもらえるなら立ち会いも必要ありません」
家の塗り替えに、幾ら掛かるのかの見積もりを業者さんに出してもらう時、それと、塗り替えが終わった時に、依頼者が立ち会うのが一般的らしいのだが、シングルマザーの私は正社員として働いているため、立ち会いのために仕事を休めなかった。
娘、「学校から帰ったら塗装業者さんは、まだいる?」
年頃の娘が不安がる気持ちは理解出来るため、学校が終わった娘は、家には帰らず学習塾に行くようにさせた。
仕事を終えた私が学習塾まで娘を迎えに行き、それから2人で家に帰ると、家が白色のシートで覆われていた。
娘、「塗装業者さん来たんだね」
私、「そうね」
契約や立ち会いにも、業者さんとは会ってないが、家の塗り替えの作業工程は業者さんから送られて来るメールで把握していた。
娘、「今日、雨、降った?」
私、「濡れているのは外壁を水で洗浄したからよ」
帰宅するのは、いつも夜。そのため、家の塗り替えをしてくれる塗装業者さんに、一度も顔を合わせてない。
家の塗り替えが始まって数日後
娘、「塗料の匂いがする」
私、「今日から下塗りが始まったからよ」
家にいなくても、塗装業者さんの仕事ぶりは、録画されている防犯カメラの映像で分かる。
娘、「塗装業者さん、汗だくで大変だね」
防犯カメラの映像には、娘からすれば祖父と同年代の業者さんが塗り替えをしているため、娘が大変と思うのは無理もない。
家の塗り替えが始まって3週間後
娘、「明日は家に居よう」
私、「土曜日は業者さんが来るけど、良いの?」
娘、「うん」
土曜日、塗装業者さんが塗り替えをしていると
娘、「業者さんにアイス珈琲を出して良い?」
私、「えっ!?」
驚きだった。なぜなら、娘は人見知りの性格だから。
娘が戻って来たため
私、「業者さんに何か言われた?」
娘、「ううん、挨拶をしただけ」
シングルマザーの私としては、別れた旦那のことを娘が業者さんに聞かれないか心配していたのだが、母親の私が不安になるようなことは無かった。
1ヶ月後
娘、「シートがない」
私、「塗り替えは今日で終わりだからね」
娘、「今日が終わりって、どうして言ってくれなかったの」
私、「どうして?」
娘、「業者さんにお礼をしてないじゃない」
シートが外され、塗り替えで家がキレイになったことより、母親としては娘が優しい子に育ってくれていることが嬉しかった。