家の塗り替えが始まると、妻は赤ちゃんを連れて実家に戻った。
私達夫婦にとって初めての赤ちゃんのため、妻が神経質になるのは分からないでもないのだが、塗り替えを行う業者さんからは、家に居ても害は無いと聞いている。
妻のお母さん(義母)から、「手伝いに行こうか?」と言われたが、家の塗り替えは業者さんが行うため、何も手伝ってもらうことはない。
仕事が休みの土曜日、遅くまで寝てしまい、11時頃カーテンを開けると、塗り替えをしてくれている職人さんと目が合い気まずかった。
私、「・・・」
目が合った職人さん、「お休みのところ騒がしくしてスイマセン」
私、「イヤ、そんなんじゃないんです」
その職人さんは、私がカーテンを開けたのは、私に苦情を言われると思ったのかもしれない。
窓を閉めていると、塗り替え作業の音は殆ど聞こえない。
もしかしたら、先程のことで、気を遣わせてしまっているのかもしれない。
12時を過ぎたため、家の駐車場を見ると、職人さん達が休憩していた。
先程の罪滅ぼしと思い、義母から送られて来た缶ジュースを職人さん達に差し入れすると
先程の職人さん、「さっきはスイマセン」
やはり、誤解をしていた。
私、「私こそスイマセン、たまたまカーテンを開けただけです。」
職人さん、「・・・」
私、「・・・」
こんな時、妻か赤ちゃんが居てくれたら、話を変えられるのだが。
職人さん達が休憩をしている家の駐車場には、赤ちゃんが遊ぶオモチャやベビカーが置いてあり
職人さん、「赤ちゃんがいるのですか?」
私、「今は、妻が赤ちゃんを連れて実家に帰ってます」
職人さん、「す、スイマセン。余計なことを聞いてしまいました」
この職人さんは、何か勘違いしている。
誤解したままでは気まずいため
私、「夫婦仲は悪くないんですよ。ただ、塗り替えが赤ちゃんに良くないと思ったので」
すると、
休憩をしていた職人全員、「スイマセン」
またしても、誤解を招いてしまった。
塗り替えが終わる頃、妻が赤ちゃんを連れて戻って来たため、全ての誤解が解けた。