塗装した屋上の使いみち

出勤が出来ずリモートワークに飽きた私は、家族を連れてホームセンターへ行った。 外出自粛が求められているがホームセンターは家族連れで賑わっている、多くの客が集まっているのはDIYコーナー。 DIYコーナーでは店員さんが実際に行い、それを見た客は自分でも出来る、私もそう思った。 息子、「パパ、何を見ているの?」 私、「塗料、おうちに塗るの」 息子、「パパがおうちを塗るの?」 私、「そうだよ」 息子との会話を聞いていた妻が、「冗談でしょ!」 私、「えっ!?」 妻、「家なんて塗らないわよね?」 私、「外壁を塗ったらマズイ?」 妻、「外壁がキレイになるのは良いけど、貴方が塗るわけじゃないよね?」 私、「僕が塗ったらマズイの?」 妻、「マズイに決まっているでしょ」 私、「どうして?」 妻、「素人が塗った家に住むのは恥ずかしいわよ」 私、「何が恥ずかしいの、僕の実家は父さんが塗ってるんだぞ」 妻、「貴方の実家は田舎でしょ、都会で外壁を自分で塗る人なんていないわよ」 そう言われてみると、確かに都会では素人が外壁を塗っているのを見たことがない。 私、「でも、外壁塗装用の塗料は売れているじゃない?」 妻、「外壁塗料用の塗料を買っても、家には塗らないわよ、犬小屋に塗ってるだけよ」 そう言われてみると、確かにお隣さんは御主人が犬小屋を塗っていた。 私が住む都市部ではお隣さんとの境が少ししかなく、自分の家を塗るとお隣さんの家に塗料が飛んでしまい迷惑を掛けてしまう。 家の外壁塗装は業者さんにお願いした、ついでに屋上(屋根)も塗装をしてもらうことにした。 お隣さんに塗料が飛ばないよう足場が組まれると、 息子、「登ったらダメ?」 業者さん、「登っても良いですよ」 業者さんの許可を得て足場に登り、自宅の屋上に上がった。 息子、「・・・」 私、「・・・」 親子共々ノーリアクションだったのは、屋上に上がっても見えたのは隣のビルだけだったから。 DIYが流行っているが、家で何かをするには妻の許可が必要、しかし、許可が降りることはないため、私の家ではDIYは行えない。 DIYをするには場所がいる、自宅で空いている唯一の場所は塗装をしたばかりの屋上。 自宅の屋上は平らなため、DIYをするには適している。 屋上を眺めていると、 妻、「ヤメてよ」 まだ何も言ってないが、妻には私が考えていることが分かるらしい。 塗装をした屋上は寝転ぶのに最適なのだが、妻の許可は降りていない。